静坐の仕方

無念無想や精神集中ということを考えず、あるがままに行う。小船が静かな水面に漂うような気持ちで心身を静かにして坐する。静坐する日々が重なるにつれて 体内に一種の微動ないし動揺を感じてくることがあるが、動揺の種類、程度は人によりさまざまであるが、自然にまかせておけばよい。

姿勢

1. 土踏まずのところで両足をX字型に深く組み、正座する。
2. 膝は接触させず、少し開いて坐る。握りこぶし二つ位。女性は一つ。
3. 腰を立て、背筋をまっすぐにする。
4. 尻をなるたけ後方に突き出し、鳩尾(みずおち)を落とし胸と肩の力をゆるめる。
5. 両手は軽く握り合わせて腹につけ、掌を下にして膝の上に置く。握り方は一方の手でもう一方の手の四本の指を軽く握り、親指と親指を交差させる形にする。
6. 顔はまっすぐにして正面を向き、口、および両眼は力まず軽く閉じ顎を引く。

呼吸

呼吸の調子を整えるのが大切で、軽く整調に心掛ければおのずから整調になる。数も深さも自然に適度なところに落ち着きます。

1. 鳩尾(みずおち)の力を抜き、静かに息を吐きながら下腹部(丹田)に力を入れる。吐く息はゆるく長くし、全部吐き切るのではなく2分くらい残す。
2. こんどはお腹の力をゆるめ、鼻から入ってくる息を吸う。意識的に吸うのではなく自然にまかせる。吸う息は短くてよい。熟達すれば呼吸は平静になり、人にわ
からないほどになります。

時間

静坐は朝夕、三十分前後。ちょうど三十分くらいが、身も心も落ち着いてくる時間です。
熟練者は朝夕に限らず、何時、何処でも時間を無駄にせず、静坐すること。

注意

・息を吸うとき胸部が収縮して腹部が膨張し、息を吐くときは腹部を極端に収縮して胸部を圧迫してはならない。
・下腹部に力を入れるために全身を堅くして力んではならない。
・重症患者、出血者、出血時、有熱者、その他安静平臥を要する者は行ってはならない。